- あなたの考えでは、アメリカの世論は外交政策に対して影響力があるだろうか。
A アメリカの世論が政府の政策に影響を与えることは疑いない。この影響力は、時と場合によっては、たとえば選挙前などには、非常に大きくもなりうる。
しかし私の考えでは、通常、行政府や議会は、世論より組織力のある圧力団体の気分のほうにとかく反応しがちである。そしてもちろん、多くの場合、アメリカ政府や、政策に影響を与えようとするグループは、世論に呼応する代わりに、大衆のムードを自分たちに望ましい方向へ変えようとするかもしれない。
- ソ連に対する見方では、アメリカの世論は専門家とかなり異なっているだろうか。
A 多分異なっていると思う。だが、アメリカの専門家の間にも大きな違いがあることを忘れてはならない。長い間、専門家の多数派はソ連に極度に敵対的な立場をとっていた。これはおそらく、ソ連研究が冷戦時代に花開いたためであろうし、これらの専門家の多くが冷戦のために働いたからだろう。
またアメリカのソ連研究専門家のなかに東ョーロッバからの移住者が異常に高い比率を占めていたことも一つの要因だった。ソ連に対する彼らの態度には、第二次大戦後自分たちの国で起きた変化と結びついた、きわめて否定的な個人的感情が影を落としているかもしれない。
ここ数年こうした事情はある程度変わってきている。アメリカは「アメリカ生まれの代表的な」ソ連問題専門家を養成した。彼らは個人的見解が大きく異なるけれど、広範囲のアメリカの政治的利害や意見を反映している。ソ連研究の新顔たちは、その見解がどうであれ、冷戦の戦士として育てられた人たちではない。
むろん古い世代のなかにも際立った例外はあり、卓越した知識を持つだけでなく、非常に誠実で、ソ連との正常な関係の重要性を明確に理解している人たちもいる。しかし、アメリカの政策決定者は、