まいからは海もアルプスも見えるわけですね。
地中海の状況は極度に危険です。去年億じめて、何日か私は子どもに、きょうは海津に行くな、海水がどうにもヒドイから、と命ぜざるを得ないことになりました。泳げたものじゃありません。わずか四年前には海水がいつも水晶のように澄んでいたのに。もちろん地中海は閉ざされた-ほとんど閉ざされたに等しい-海です。毎年推定二百ないし三百トンの油がこの大きな湖に意図的に捨てられているのです。この油が海面を漂流して地中海の岩壁に打ち当たり、全生物を殺しているのですが、海洋生
物ぜんたいにとって岩壁はこの上なく重要なわけです。海洋生物の大部分はその一生の発達段階のどこかで、卵のときとか、発生初期において君壁を利用するからです。それを有毒物質によって絶滅するとなれば、陸を遠く離れた生物にも致命的な影響を与えるでしょう。
一九七二年十一月十三日にロンドンで九十一力国が世界的規模の会議をひらき、海洋にものを捨てるのを抑制する決議をしました。この会議の効果についてどうお考えですか。
大事なのはこうしたことを取り締まっていくことでしょう。大問題です。多くの人々はいまだに、そんなことを言ったって大して危険はないんだと言って、ものを捨てつづけています。これは教育問題でもありましょう。海洋が思っているよりもずっと小さいんだということを人々に理解させることです。
北海でこういう廃物処理が多量に行なわれているのですが、この海底にニューヨーク市のような都会を建設したら、建物の大部分は海面上に顔を出してしまうのだということを知ってくれたらよいのですがねえ。ほんとうにそんなに浅いものなんですよ。疑いの余地もないことでしょう、そんなに浅い海に有毒物質を捨てれば海洋生物に悲惨な影響を与え、それがまた長期間には全人類に後作用をおよぼすってことは。
たとえばイギリスの自然環境調会議に所属する海洋環境新研究所は、一九七五年には百三十人ほどの科学者が働いて、フルに活動ずることになっているそうですが、どのようなことを期待されますか。
ええ、これはよいことです。ほんとうに大事なのは科学者の口を開かせるだけでなく、一般大衆の目を開かせ