いや日本が一番弱かったのでナよ。要求に屈したんですからね。
それはそのとおりです。そしてまさにそれが日本の若い学生達を一番困らせる点なのです。彼等は世界政治がどんなに汚いものかということを認識し始めており、時にはこの世界から逃げ出せればよいのに、と思ったりすることもあります。
彼等が出世して未来の政治家になった時には、親達が今やっているのと同じような振舞いをし腐敗してしまうでしょうね。遠いますか。
そのとおりです。それが人間の中に絶えず起こっている変化なのです。われわれは日本でいつもそれをみてきました。
私が理解に苦しむのは、非常に多くの民主的な政府が、今日の東南アジアの最も腐敗した反人民的な政権のいくつかと緊密で利益の得られる関係を維持しているということです。例えば最近のクーデ夕ー以前のタイとかスハルトのインドネシアがそれです。インドネシアではまず数十万の農民がフ7シスト達によって虐殺され、その後更に数千人が強制収容所に無期限に入れられました。日本もまた東南アジアの大衆との関係で苦境に陥っているのは、何の不思議もあリません。
私は、タイやインドネシアの政府が腐敗しているかいないかについて、何の論評をも加えたくありません。これらの国々がどのような政策をとり、どのような政府を持っているかは、全く彼等自身の問題だと思います。
ここで私が強調したいのは次のような事実です,すなわち日本人民は島国に固有の地理的な孤立という事情に加えて、一六三九年から一八五四年に至る、ほとんど二二〇年間にわたる完全な鎖国の時期を持っていたということです。つまり日本人は、異なった文化が遭遇する際に発生するさまざまな文化摩擦に対処することに惯れていません。日本人には、西欧と中国を例外とすれば、他の諸国民の文化や思考や行動様式を気にしない傾向があります。日本人は一八五〇年頃まで中国漢文明の影響圈の周辺に位置しており、それ
以後は西欧文明圈の周辺に位置していますから、この二つの文化に対してはインフェリオリティ・コンブレックスの心理を持つようになりました。この二つが例外なのでして、日本人はしばしば