Soren no tachiba. Detanto no hokani michi wa nai (The Sovjet viewpoint. No alternative to detente)
(1983)–Georgi Arbatov, Willem Oltmans– Auteursrechtelijk beschermd
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3 軍備管理と軍縮こそ | |
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ーワシントン・ポスト紙のスチーブン・ローゼンフェルド論説委員長は、最近、次のようなことを述べている。 「過去二〇年近く、理論的に可能と考えられたにすぎなかったソ連との戦争が、それも単なる冷戦ではなく、実際に砲火を交える熱い戦争、さらには核戦争さえもが、いま初めて現実に起こりうると考えられるようになった」 Aそのような発言はきわめて危険な兆候である。考えられないことが考えられることへと変化しはじめた局面に、われわれが近づきつつあることを示すものである。アメリカでは、平和と戦争の問題を論じる際の用語が変化してしまい、正常な発想が脇道に押しやられ、程度の差はあれ精神異常的な論議が行なわれているような感を受ける。 歴史をみれば、自らが戦争を引き起こして壊滅的被害を受けた国は一つならず存在する。ブレティン・オブ・アトミック・サイエンチスツ誌の表紙に描かれた、核戦争発生の危険度を示す運命の時計の針は、一九八〇年初めに一二時九分前から一二時七分前へと進められた。これは冷戦時代の危機の | |
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時に指した時刻と同じである。一九八一年初めには、一二時四分前へと針は進んでおり、さらに針を一二時に近づけなければならない事態になるのではないかと懸念している。 - 国際緊張がこのところ高まっているから、というわけか。 Aその通りだが、それだけが理由ではない。科学者や専門家の間ではかなり前から戦争が起きるのではないかという懸念が強まってきている。 私が懸念する理由の主なものをあげるなら、軍拡競争の継続と軍備制限交渉の停滞、それに危機や紛争を解決しようと試みても、ほとんどが失敗に終わっていること、の三つだ。緊張が高まり、軍拡競争が加速しているので、状況は当然のことながら一段と緊迫化している。 - したがって、核戦争を防止するという米ソ関係のなかで最も重要な問題が、ますます緊急性を帯びてきたということになるのか。 Aその通り。核戦争の防止がソ米関係の主要問題であり、緊張緩和の中心テーマであることを忘れてはならない。両国首脳はこの事実を互いに認識し、公式に宣言している。 一九七二年にモスクワで行なわれたソ米首脳会談での合意事項のなかで、最も重要なものは「核時代には、平和共存を基盤として相互関係を築く以外に道はない」という部分である。一九七三年に両国は核戦争防止協定に調印したが、少なくともソ連からみた場合、この協定はソ米間で結ばれた最も重要な合意の一つである。 これらの合意文書に対するレーガン政権の態度を知ることは重要である。またレーガン政権が、何を平和維持のために最も確かな手段とみなしているのかも重大な問題になってきた。アメリカでは、軍拡競争と強硬政策が平和を実現する唯一の道だ、と国民に思い込ませようとする大々的な宣伝が行なわれている。 |
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