ジョンソンが愛国主義のことを「悪党の最後の逃げ口上」ときめつけたが、その意味するところは、この国家主義的熱情のことだった。
- アメリカの政策変更について、まだほかに理由があるだろうか。
A 緊張緩和政策は、アメリカでは一度も成功する機会を与えられなかったし、いまワシントンの強硬派の間では、対外関係でアメリカの意志と決断力を衰えさせた元凶として、緊張緩和をあざ笑うのがはやりになっている。しかし、アメリカの意志や決断力が実際に欠けていたとすれば、それは緊張緩和や軍縮、信頼醸成に対するワシソトンの態度にこそ欠けていたのだ。
- そして、一九八〇年の火統領選挙がやってきた。アメリカで大銃領選挙のお祭り騒ぎが終わるまで全世界が活動を止めて待っていなければならないのは「実に嘆かわしい限り」とロンドン国際戦略研究所の副所長、ジョナサン・アルフォード大佐のような著名な分析家も嘆き、「非常に嘆かわしいだけでなく、危険さえはらんでいる」と言っていた。
A 確かに、アメリカの選挙の時期は、いい政策を打ち出すには悪い時期で、悪い政策を打ち出すにはいい時期である。これはある程度理解できる。
立派な大統領になるか、お粗末な大統領になるかはともかく、その前にまず大統領にならねばならない。そして、大統領になるためには、候補者は通常、どんなこともためらわない、しかし、時々不思議に思うことだが、ほとんど毎度のように、候補者が軍備競争を助長し反ソ惑情をあおり、まぎれもない陰謀に加担するようにみえるのはなぜだろうか。アメリカの著名な科学者であるジェ戸ーム・ウィーズナーは、前回の大統領選挙戦の末期に、ニューヨーク・タイムズの記事のなかで、次のよう
に述べていた。
「大統領選挙戦のたびごとにわれわれは、差し迫ったソ連の戦略的優位をめぐるヒステリフクで恐ろ