的、経済的説明を加える余裕はないが、注意を喚起しておくことは意味がある。
このことは、平和共存の理想、すなわち平和と共存が互恵的であり、戦争と敵意が万人にとって危険なものだという真理の普遍性を、明白に立証するものである。
この五〇年間の歴史を通じて、われわれはみな、この複雑な世界で共存するための幾つかの絶対的な規範を理解すべきであったと思う。
第一に、自分たちの方法や形態にあてはめて相手側を作り変えようとしてはならない。これは無駄で危険な行為である。
第二に、相手側と良好な関係を樹立しようと努力する場合、相手側に気に入られる必要はまったくない。政治は、人間に希望や喜怒哀楽の感情を起こさせる小説ではなく、真剣で複雑な行為であり、自らの利益を真面目に考え、もし成功しようとするならば相手の利益についても合理的な範囲で考慮することが重要だ。
そして最後に、お互いに好むと好まざるとにかかわらず、双方はこの地球上で共に生活しなければならないということだ。生きるのも減びるのも一緒なのだ。この点から出発して、自らの政策を完成させなければならないと思う。
これらの、そしてそのほか多くの歴史の教訓は、どういうわけか、現在のアメリカの政権の注意の間隙をすり抜けていってしまったような印象がある。この政権の歴史に対する態度も、歴史の教訓に対する態度も、全体としてきわめて奇異である。
現代アメリカの保守主義イデオローグの一人ウィリアム・バックリーは、こうした政治的風潮のもたらす効果を「歴史の道に逆らって立って"止まれ"と叫ぶようなもの」と表現している。そんなことをしても無駄であり、成功する見込みにない。そして一般的に言って、幻想の上に構築され、夢の