うことである。
緊張緩和派の強力な支持者であるアルバトフ教授は、アメリカだけでなく、中国、日本、ヨーロッバ、ボーランド、アフガニスタン、植民地主義、人権、平和一般についても分析している。アルバトフ教授がソ連の行動と政策をできるだけ都合よく解説していることは認めるにしても、教授の発言は議会、政府、国民が真剣に研究、評価すべき課題である。ロシア人とその目的、能力を理解し、これにどう対処すべきかを決めることは、西側諸国民が直面している最も重大な問題である。
第一次世界大戦中のイギリスの外相であったグレー卿は、回顧録のなかでこう書いている。
「ヨーロッバの歴史の教訓は非常に明白である。それは、軍拡競争や同盟関係の対立によっては永続的な安全は確保できないということ、すなわち、隣国が平等の役割を果たしている安全保障でない限り、どの国にとっても安全保障はありえないということである......。諸国民がつねに過ちを犯してい るのは、お互いの心理を理解しないからである」
軍拡競争の大規模なエスカレーションが進行している、まさにこの時期に出版されるだけに、本書によって、ソ連人の心理を理解し、われわれが求める安全保障における平等の役割を米ソ両国に与える手段を見出すため真剣な努力を始めるべきである。こうした努力が緊急に必要なことは、アメリカ議会でのリコーバー提督の最近の退任のあいさつに示されているが、このなかで提督は、われわれが 軍備のはてに破滅の危機に瀕していると警告した。
ソ連人の心理を理解するには、アメリカが関係正常化の条件として、ソ連に基本的な社会構造の変革を要求している、というソ連人の確信がどのような結果をもたらしているかを完全に理解すること が不可欠である。アルバトフ教授は発言の重要な一節のなかで、こう述べている。
「国家安全保障会議 (NSC) 文書NSC - 68など、アメリカ外交政策の基本文書のなかで、わが国の