あなたは、また、「地上の全ての生命の運命のために」社会の進歩を経済発展によって刺激することの必要性についても述べておられましたね。
社会主義経済では、生産の拡大や労働生産性の向上をはかる時、それ自体を自己目的とするわけではありません。ソ連では、経済問題は社会諸目標に従属するからです。このことの実際的意味は、経済計画は、社会の経済=社会的発展を指向した総合計画の一部分としてとらえられているということです。それゆえ、ソ連では、経済成長と社会開発との間には対立もなければ矛盾もありません。
かつてのヒユーマニスト達は、しばしば、まことにユートビアンでした。この人達は、経済開発を行なわずして、また技術の進歩も考慮することなく、また、しばしば技術進歩の刺激さえ考えずに、社会を転換させて行こうとしたからです。しかしそれなら現代のヒユーマニスト達はと言うと、しばしば経济成長をあきらめなさいとは言うのですが、それにとってかわって、社会問題を解決する方法を真に打ち込んで探求しているでしょうか。
かれこれする間にも、世界の多くの地域では、貧困、飢え、経済の立ち遅れにみまわれているのです。先進工業国と言えども、国民全体の必須の欲求を満足させるという問題はまだ解き得ていません。特に、国民の欲求も增え続けているからなおさらです。だから、問題は経済成長を完全にストップさせることでも、著しく制限することでさえもなく、経済成長を最大限に効率的な方法で保障することです。結局、経済成長のみが、人類の生活条件改善のための真の必要条件を生み出すでしょう。
シッコ・マンスホルト〔本書第一卷対談20参照〕は、エネルギー危機は幸いな出来事だったと首っておリまナ。どうしてかと言いますと、それがョーロッバの人達を正気に帰らせ「地球資源にははっきリした限界がある」ことを悟らせたからだと言、フのです。
現在の二ネルギー危機は、将来の石油資源不足の問題とは関係がありません。それはむしろ、一方では、先進資本主義国間の矛盾を、他方では、資本主義国と発展途上国との間の矛盾を反映しているものと言えそうです。巨大な多国箱企業は、意図的に、利潤のいっそうの増大をねらって、このエネルギー危機を政治、貿易、金融面での投機の対象として利用しているのです。