紛争が起きた場合、日本がその地理的な位置と人口密度の高さのために、非常に弱い立場におかれることは明らかだ。そしてこの弱点は、軍備の増強や軍事同盟によって取り除けるものではない。日本が自らの安全を保障するには、この地域の安全と緊張緩和を強化し、集団安全保障協力の仕組みを作る以外に方法はない。
私は一九八一年末に日本を訪間したが、その時の印象では、日本国民は、東西緊張の激化と全面的な軍拡競争が自分たちにとっていったい何を意味するか、だんだんわかりかけていたようだった。私が希望し、期待してやまないのは、日本人が平和と緊張緩和にこれほど客観的な利害関係を持ち、原爆の恐ろしさをいまだに忘れていない国民として、この地球上の平和、安全、協力を確実なものにするための国際的な努力に、もっともっと積極的に参加してもらいたい、ということである。
経済面はどうか。これも日本にとって途方もなく重要である。世界中で経済が平和と国際的安定の双方にこれほど左右される国は、ほかにはほとんどない。そしてもちろん、ソ連との協力強化と切り離せない日本にとって非常に重要な利益もある。
- 日本は現在、国民総生産(GNP)の約一%を防衛費に使っている。口本が経済力にふさわしい軍事力を持つべきだという議論についてどう思うか。特に、日本は島国だから外国の脅威から海上交通路を守らなければならないという主張もある。
A そのような議論は、経済的、政治的目的にとって軍事力が役立つという、どうしようもないほど時代遅れの考えに基づいている。
かつて日本は、領土拡張と軍国主義によって世界における経済的立場を強化しようと図って、ひどい災難に見舞われた。これにひきかえ、日本が過去三〇年間に戦争と侵略に訴えずに達成できた成果はどうだろう。日本が再軍備すれば,何を得られるというのだろうか。経済を損ない、競争相手を楽