Soren no tachiba. Detanto no hokani michi wa nai (The Sovjet viewpoint. No alternative to detente)
(1983)–Georgi Arbatov, Willem Oltmans– Auteursrechtelijk beschermd
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5 中国、日本、第三世界 | |
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- ソ連とアメリカの関係が、引き続き現代の国際関係の、きわめて重要な部分を占めていることは明らかだ。しかし複雑な国際情勢全体をモスクワ・ワシントンの二次方程式にあてはめることは、とうていできない。世界の人口の一〇分の九近くは、ソ連とアメリカ以外の国国に住んでいる。ますます相互依存が強まっている現代においては、この一〇分の九の人たちが米ソ関係を無視することはできないし、また両超大国としても、ヨーロッバはもちろんアジア、アフリカ、ラテンアメリカで起きてい ることから、両国関係を切り離すことはできない。 A まったくその通りだ。両超大国に特別の権利があるなどという考えは、いつもソ連とは相いれなかった。われわれは、ほかの国々すべてとの関係を発展させることが非常に重要だと考えているし、この関係をソ米関係のために無視することはない。 - それでは、ソ連の外交政策と米ソ関係の双方との関連で、ほかの国々と地域の諸問題に触れたい。その一つは中ソ関係の問題だ。西側には、ソ連が緊張緩和政策をとったのは、何と言っても中国とその軍事力の増強を恐れたためだ、という意見がある。 A その意見にはまったく根拠がない。それとはまさに逆に、ソ連の緊張緩和政策こそが、中国との関係悪化の理由の一つになったのだ。早くも一九五〇年代の後半には、西側との緊張緩和を追求しようとするソ連の意図に対して、中国はすげなく「革命の大義への裏切り」というラク印を押した。 | |
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- 中ソ関係が悪化した理由は、ほかにないということか。 A そんなことはない。ソ連が発表した西側、特にアメリカとの緊張緩和政策を別にしても、少なくとも中国側から見れば、別の理由もある。その理由の一つとして、われわれが中国に核兵器を供与するのを拒否したことを挙げたい。また、中国は社会主義国と世界共産主義運動に対する指導権を主張した。中国の意図はスターリンの死後、疑いの余地がなくなった。毛沢東は、ソ連がこうした中国の主張にとって重大な障害だと考えた。この点はきわめて明白である。 |
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